-29 愛協ビル7階、取締役CEO:遠藤 太一郎)は、国立大学法人東京学芸大学と共同でGPT-4o等のAI技術を活用して自動でレポート等のフィードバックをするシステム「教育用AIフィードバック with KanameEngine」を開発し、広く教育現場で活用されることを想定して無料公開・ユーザー募集を開始しました。
※教育用AIフィードバックシステムの利用申込フォーム
https://kaname-prj.co.jp/event/questionnaire/2024/mailform/
システム開発の経緯
国立大学法人東京学芸大学では現在、「教育のためのデータサイエンス」という授業を実施しています。
こちらは1,000名以上が履修しているクラスとなっており、履修者全員の提出レポートに対して教員やTA(ティーチングアシスタント)が一人ずつコメントを付けていくことは、工数等の観点から持続的な運用方法ではありませんでした。
このような背景から、カナメプロジェクトは東京学芸大学と共同で、AIが自動でレポートのフィードバックをするシステムを開発し、同授業にて試験的に導入。学びにどのような影響があるかを検証しました。
※ 本検証は、「教育のためのデータサイエンス」授業を担当されている東京学芸大学 先端教育人材育成推進機構の山下 雅代先生、東京学芸大学 非常勤講師/東京学芸大こども未来研究所/東京理科大学大学院の中村 謙斗先生、プロジェクトを推進してくださった中田 一朗太様、東京学芸大学教育AI研究プログラム/株式会社カナメプロジェクトの遠藤太一郎が中心となって進めています。また、東京学芸大学教育インキュベーションセンター長の金子 嘉宏先生には、多大なるご助力を頂いております。
システム無料公開の経緯
該当の授業は、前期で全7回構成のものが2回行われます。前半7回の授業が終了し、AIからのフィードバックを受けた履修者の感想を集計した結果、以下の結果が得られました。
(1)AIフィードバックの良かった点
・自分の理解度や不足している点を客観的に把握できた
・学びを深めるためのアドバイスがあり、学習意欲向上につながった
・授業内容の復習や振り返りに役立った
・自分の意見を肯定的に評価してくれるので、モチベーションが上がった
(2)AIフィードバックの改善点
・文章が長く、読む気が起きないことがあった
・機械的で画一的な印象を受けることがあった
・細かいニュアンスの違いを理解してくれないことがあった
・具体性を求められすぎて、他のアドバイスが欲しかった
(3)AIの可能性と限界
・教員の負担軽減や効率化に役立つ可能性がある
・大人数の授業でも一人一人にフィードバックできる
・感情や文脈の理解、細かなニュアンスの解釈に限界がある
・完全に教員の代替にはならないが、補助ツールとしては有用
(4)他の授業での活用への期待
・他の授業でもAIフィードバックを活用してほしい
・レポートの書き方の改善などにも役立ててほしい
・小中学校など、対象者に応じた活用方法の検討が必要
・AIの精度向上により、さらなる活用の可能性がある
これらの結果を受け、次のステップとして教育におけるAI活用(社会人向け研修等含む)に興味のある方にも広く試して頂きたく、この東京学芸大学での担当授業のために構築したものを基に、どなたでも扱えるように仕組みや手順等を簡易化したものを「教育用AIフィードバック with KanameEngine」(以下、本システム)として無料公開しました。
無料公開するシステムの概要と使い方
本システムでは、Google スプレッドシートを活用します。
まずは専用のスプレッドシートに授業の情報を入力します。記述内容の粒度感については、同シート内にサンプルをご用意していますので、併せてご確認いただきながら入力します。
続いて、同ファイル別シートにレポートの内容を入れ、上部にある[フィードバック生成]ボタンを押すと、AIによるフィードバックがまとめて自動生成されます。
なお、本システムではAIモデルを「GPT-4o」と「Command-R+」の2つから選択できるよう設計しています。
Command-R+は非商用無料で、GPT-4oに準じた性能を持つモデルです。月間1,000件までという制約はありますが、コスト軽減の観点で選択肢としてご用意しました。
※使用するモデルのAPIキーについては、別途ご用意しているガイドマニュアルをご参照の上取得をお願いします。またサンプルプロンプトも公開し、簡単にカスタマイズできるようにしております。
※東京学芸大学の「教育のためのデータサイエンス」授業で使用する際は、AIリテラシー教育もセットで行いました。AIを授業で活用する際は、文部科学省の生成AIガイドラインや各自治体のガイドラインをご確認ください。また、OpenAIの規約では、直接の利用は13歳以上となっており、18歳未満は保護者の同意が必要となっています。フィードバックは児童・生徒に直接するのではなく、教員が参考のためにフィードバックに手を加えて活用するなど、工夫してご利用いただくことを想定しております。
AIからのフィードバック例
「教育のためのデータサイエンス」授業で実際に生成されたAIからのフィードバックについては、以下の遠藤によるコラム記事にて記載しています。併せてご参照ください。
▶︎GPT搭載 教育用AIフィードバックシステムを無料公開しました
今後の展開予定
公開後は以下の取り組みを進めていく予定です。
- 遠藤太一郎のnote等での状況報告
- 本システム利用者を含めた、オンライン座談会等のイベント実施
- 一定の知見が溜まった段階でレポート/論文等としてまとめた上で公開
- AIフィードバック以外のテーマでの検証
以下の申込フォームにご登録いただいた方には、これらの情報を随時共有していく予定です。
※教育用AIフィードバックシステムの利用申込フォーム
https://kaname-prj.co.jp/event/questionnaire/2024/mailform/
もちろん、「情報だけ欲しい」という方も大歓迎です。お気軽に申込フォームにご登録ください。
※情報は登録頂いたメールアドレス宛に展開予定ですが、専用のLINEアカウントも作成しました。本LINEアカウントでは検証の情報共有に加え、教育×AIに関する情報も可能な範囲で提供していきますので、ぜひこちらも併せてご参加ください。
本システム開発/検証等にご協力いただいた皆様からのメッセージ
山下 雅代 様
東京学芸大学 先端教育人材育成推進機構 准教授
教育のためのデータサイエンスは、学部2年生全員必修の講義で、全部で1,000人を超える人が履修します。特に本学は文系の学生が多く、数字や数式に苦手意識が強い学生が多いです。一方で、一定数はデータサイエンスに興味を持ち、勉強したいと思っている学生がいます。そうした前向きな学生たちのために何か積極的にできることはないかと考えたときに、ご紹介頂いたのが「教育用AIフィードバック with KanameEngine」でした。AIによるフィードバックなので、教員が個別に返すのを100点とすると、100点は取れません。でもフィードバックを何も返さないのは0点です。KanameEngineを使うことで、70点は取れるだろうと思いました。記事にもご紹介があります通り、うまく活用して効率的に学びを深めた学生がいました。もちろん、学生の記述間違いを直せないことやコスト面でのデメリットもありますが、デメリットよりメリットが大きかったのではないかと考えています。例えば、今の運用の70点を、今後80点・90点に上げていくためには、実際に運用して効果的な活用方法を見出していくことが肝要だと思います。是非、色々ご活用頂き、その結果を踏まえて、深い学びを実現するための運用方法を皆さんと考えていけたら幸いです。
中村 謙斗 様
東京学芸大学 非常勤講師/NPO法人東京学芸大こども未来研究所 STEAM教育プロジェクト 専門研究員/東京理科大学大学院 他
講義や研修を受けても、自発的に振り返りを行うことは難しいと思います。そこで、学び手が目標に達成できたかどうかを自ら確認できるようなフィードバックは、振り返りのきっかけとなり、より深い学びへと繋がることでしょう。本システムは、生成系AIを用いることで、教員が一人一人にフィードバックを行うことが難しいような大人数の講義や研修でも活用することができます。是非お気軽に本システムを活用していただくことで、学びの支援を体験していただければと思います。
中田 一朗太 様
東京学芸大学 先端教育人材育成推進機構 専門研究員
シンプルな作りですが、本システムではOpenAI、Cohereが提供する最新のLLMを用いたフィードバック生成が出来るようになっています。特にCohere-Command R+は無料でも利用することができますので、生成AIにまだあまり触れたことがない方でも、気軽にお試しいただけるかと思います。システム利用だけではなく、LLM利用登録に関するマニュアルも作成しておりますので、是非お気軽にご活用ください。
カナメプロジェクト 取締役CEO:遠藤 太一郎
AI歴25年。数百のAI/データ活用/DXプロジェクト。
1996年、18歳からAIプログラミングを始める。米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービスを開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。数人のチームからスタートし、組織開発しながら40-50のAI案件を並行して行う組織にスケール。上場後、独立。カナメプロジェクトにて、生成系AI活用DXコンサル&実証実験サービス「OMOCha」をはじめ、各種AI関連ソリューションを主管しつつ、複数社の技術顧問やエンジニア採用/組織開発の支援を行っている。また、働き方や組織開発の視点からDAOの可能性に惹かれて「DAO総研」を立ち上げ、DAO(分散型自律組織)の立ち上げ/運営伴走支援コンサルティングや、スマートコントラクト開発、プライベートブロックチェーンの立ち上げ、トークンエコノミー設計支援等にも従事している。
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授
DAO総研 Founder
国際コーチング連盟ACC
株式会社カナメプロジェクト 概要
【事業内容】
・生成系AI活用DXコンサル&実証実験サービス「OMOCha」
・DAOの伴走型コンサルティング/開発/教育支援サービス「DAODAODAO」
・AI/DX人材育成(リスキリング)支援
・その他Web3関連システム/AIシステム開発
・Web3/DAO/AI/DX関連セミナー/研修
・メディア運営(サイト:the-wave.xyz、YouTube:youtube.com/@thewave_tv)
・DAOのサンドボックス「DAO Research DAO」の運営(※検証運用中)
【オフィス住所】
愛知県名古屋市中区丸の内1丁目4-29 愛協ビル7階
【各種URL】
・企業サイト:https://kaname-prj.co.jp/
・運営メディア:https://the-wave.xyz/
・YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@thewave_tv
・TikTokチャンネル:https://www.tiktok.com/@thewave_tv
企業情報
企業名 :株式会社カナメプロジェクト
企業URL :https://kaname-prj.co.jp/
出典元
PRTIMES :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000112864.html